原料芋の収穫が終わると、次の年の干し芋作りのために「土つくり」に入ります。
まずは、干し芋畑に麦などの緑肥を蒔きます。
この緑肥は、文字通りに肥料となる植物で春の暖かくなった頃に土に混ぜて土つくりを行います。
(水はけの良いサラサラした土壌なので、風が強いと土埃が舞い飛びます。それを防ぐのにも緑肥は役立っています。)
もちろん化成肥料などは使わず、植物が自分で育つ生命力を持った緑肥が美味しさと安心・安全に繋がることは言うまでもありません。
5月以降、春先から苗を育てるハウスで育て、厳しく選別した苗を植えて畑を作ります。
マルチと呼ばれる黒いビニールは、雑草を防ぐ目的で張ります。
雑草に栄養を取られず、スクスクと育ちます。
そして何より除草剤や農薬を使わないということが、一番安心をお届け出来るポイントです。
梅雨明けの時期から、干し芋の苗はぐんぐん成長します。
真夏の太陽の光、夕方になると海から吹く涼しい浜風、そして夕立の雨。
自然の恵みをいっぱいに浴びて、光合成から栄養を作り、海沿いで海水のミネラルをたっぷり含んだ雨と風で、大きく美味しい原料芋へ育って行きます。
美味しく甘い干し芋は、海沿いの畑で育つというのも大きなポイントです。
毎年、10月中旬頃から原料芋の収穫が始まります。
コバルトブルーの秋晴れの下、大きく成長した原料芋が土の中から顔を出して来ます。
掘り出した原料芋は、徐々に寒くなり熟成する「糖化」のために寝かせます。
貯蔵中の原料芋は、自分の中にある糖化酵素でデンプンを糖化させ、どんどん甘くなります。
また、貯蔵期間を延ばすためにキュアリング作業を行います。
これは約35℃程度、湿度95%程の状態にして約1週間原料芋を置きます。
その後、温度10℃程、湿度90%程まで下げて貯蔵することで、収穫時に出来たキズから腐ってしまうことを防ぎます。
この作業で、甘さも深まるようです。
12月中旬頃から、いよいよ干し芋への加工がスタートします。
まずは、熟成し糖化が進んだ原料芋を洗います。
そして、蒸かしに入ります。
毎年「大安吉日」を選んでゲンを担ぎますが・・・
蒸かす時間や温度調整などで甘さも柔らかさも違って来ますから、重要な作業でもあります。
たくさんの干し芋農家がありますが「蒸かし作業」は、それぞれの農家が長年の経験を積み重ねて「勘」の部分も大きいです。
干し芋作りは、日本酒作りに似て原料を熟成させ、どう美味しさを引き出すか?長年の経験がモノを言う、かなり奥が深い作業なのです。
もちろん「あまいも-Amaimo-」でも、最も美味しく甘くするために、常に試行錯誤を繰り返しています。
蒸かしを経て、皮を剥いた原料芋です。
「黄金色に輝く」という表現が、まさにぴったりな姿です。
さらに、平干し用は、丁寧にスライスして1枚1枚並べて行きます。
乾燥が進むにつれて、黄金色から深みのある「べっこう色」(飴色)に変わります。
水分が蒸発して、甘さが凝縮して行くに連れて色も変化します。
人気のある食べ切るサイズの「お買い得切れ端」も、同時に出来上がります。
乾燥作業の効率アップのために近年は乾燥機を導入しました。
しかし、最後の仕上げは太陽の光を浴びて乾燥させる「天日干し」は欠かすことが出来ません。
やはり、天然・自然の太陽の力で生命力のある「お芋」の美味しさが引き出されるようです。
丸干し芋も、黄金色から「べっこう色」(飴色)に変化し、太陽の光と真冬の寒風でギュ~と甘さと美味しさがお芋の中に凝集されて行きます。
一口食べると、その美味しさに思わず笑顔がこぼれる・・・
その理由は、この年間を通じて行われる作業の繰り返しから生み出されます。
天日干しの場所は、風通しが良く、鳥や小動物が入り込まないように厳重に網が張られたハウスです。
天日干しは、干したら仕上がりまでほったらかしとお考えの方も多いと思います。
しかし毎日、天候の状況を観察して干場に運び、夜は衛生管理を行った倉庫で保存しています。
また、土埃が舞い上がらないように地面には緑肥を植えております。
このような流れで、干し芋が生み出され、皆さまのお手元にお届けしております。